俺とノビーはヨタヨタとクラブの階段を下り、ポットボックスみたいに煙たいVIPルーム(とは名ばかりのキタネー楽屋)でマッタリしているササキと、一人でベシャクッているタツに別れを告げ、フロアにいる顔見知り達に片手で挨拶しながら階段を上って外に出た。
外にはさっきのノビーと同じようなヨレたゾンビが何人かいてさ、それこそケーサツでも来たら厄介だと思って歩き始めようとしたら、そのゾンビの一人がノビーに声をかけてきた。ヒョロッと背の高いボーズ頭の男で、ノビーのパーティ仲間だと紹介されたが、名前は…なんだっけな?覚えてねーからボーズにしよう。そんでそのボーズの後ろには、肩を組んでやたらイチャイチャしているカップルがいて、挨拶もそこそこにヒソヒソウフフと夢中でサカり続けている。こいつらの名前も覚えてねーから二人まとめてカップルにしておく。
俺がいない間に話がまとまっていたようで、そのままノビーの車でボーズの家へ向かった。そのころはもう空も明るかったと思う。初めて会ったジャンキーとジョイントを回しながらの早朝ドライブもまぁ悪くはなかった。カップルは別として。
ボーズの家に着くと同時に、さも当然とばかりにジョイントレースが始まった。ノビーがバカデカいチョコの塊を景気よく提供してくれたおかげでボーズの家での記憶はほとんど無いんだが、例のカップルがひたすらイチャイチャしていたことだけは鮮明に覚えている。パーティも中盤になってから玉を入れたらしくまだまだエクスタシー真っ最中の二人は、俺達など完全無視でムチュムチュムチュムチュと、そりゃもうニッカツロマンポルノも裸足で逃げ出すムチュムチュ加減だった。
俺とノビーは苦笑いしつつも馬鹿話でマッタリしていたんだけど、ボーズはどうにもそれが気になってたまらない様子だ。しきりに「いいなぁ~うらやましいなぁ~」と、シラフなら赤面モノの生々しいネタミを隠そうともしない。まぁそりゃそうだ、自分の家で堂々とサカられたらいい気もしないだろう、なぁ?ノビーよ?なんて俺の家でセックスしたノビーをいじめて笑っていたけど、そのカップルも人様の家でイチャつくにはちょっと度が過ぎていた。
俺はあまり嫉妬を感じるタチではないんだが、目の前でここまでムチュムチュされたらさすがの俺も勃起する。玉の抜けだから完全勃起とまではいかないが、そりゃ当然に半勃起くらいはしてしまう。第一、女の子が可愛いというのが実によろしくない。歳は19だということだからして、そんな未成年はまだ玉など食ってはいけませんのですよマッタク。しかも二人は今日のパーティで出会ったというから実にケシカランじゃないか。いやいや、決して嫉妬ではない、嫉妬ではないのだが、俺がさっき韓国マッサージで受けた冷たいローション手コキに支払った18000円とは一体何だったのかを否応なしに考えさせられてしまう。カップルの口許から漏れるムチュムチュというミダラな音が俺の心を容赦なく引き裂いていく。キスは?おっぱいは?とアガシに懇願しながらも全力で断られた俺の純情を嘲笑うかのように、二人のムチュムチュはひたすらに続いた。
ま、そんなアホなイベントでニヤニヤすんのにも飽きてきたころ、ノビーがそろそろ出ようとその場を切ってくれた。あとはカップルとボーズで3Pでもしてくれと冗談とも取れない冗談を残して笑いながらその場を後にした。
俺はてっきり帰るもんだと思っていたら、今からアフターパーティ行くけど一緒に行くでしょ?とここにきて当然のようにのたまうノビー。待って待って、今のがそれじゃなくて?これから本気のアフターパーティ?いや、それはさすがに…と言いかけた俺に、「みんなここから(ネタを)食い食いだぜ?」とニヤつくノビーと固い握手を交わした俺は、意気揚々と助手席へ乗り込み歓喜の雄叫びを上げるのだった。