キメセクファイル/サツキ13

~ ほらうそ ~

 動くのをやめた途端にこのコは俺の前から消えてしまう…。そんな寂しさ、いや、強迫観念にも近い喪失への危機感に取りつかれ、俺はサツキをひたすらに突き続けた。目を閉じたまま時折グッと背を反らせて俺を弾き飛ばそうとするその足を押さえつけ、温かく湿った彼女の肉を力の限り蹂躙し味わった。


ー 冷たく激しい怒濤が体の中心を駆け昇っていくのがわかる。

ー サツキを突くたびに叫び出しそうなほど壮絶な快感が押し寄せ脳の奥でバチバチと火花を上げる。

ー 俺が欲しいのはこの場所だ!この、ああ!この世で到達できる最高の!あああ!絶頂を遥かに超えたこの!肉欲…の…あああああ!!


 汗が、頭から、顔から、腕から、背中から、筋を作って流れていく。背筋が寒くなるほど体温が上がっている。頭は動こうとしても体が拒絶する…。

 逃がすまいとさっきまで突き続けていた目の前のメスが、いまだ魅惑的に輝いている胸を揺らして体を起こした。渋い目でキョロキョロしたあと俺を見て、「ほんっっっと強いですね~!」とあきれたように笑い、またベッドへ仰向けに寝転んだ。そんな彼女にもう一度のし掛かりたいという強い衝動にも、すでに俺の体は反応してはくれなかった。

 魂が抜けたようにサツキの横へ倒れ込んだ俺の汗を、彼女は優しくぬぐってくれた。このまま女の横で死んでも腹上死ってことになるのかな?なんて考えていたら、彼女は小さく「死なないでくださいよー?」と言った。そうだよね、迷惑だよね、と俺が続けると、サツキはすかさず「そうじゃなくて。また、会いたいじゃないですか…」と俺を殺しにかかった。ははっ、そりゃうれしいね、なんてスカして返したけど、もう完落ちだ。抱き寄せる力も残っていないのが悔しかった。

 ハッと気付いたように、いま何時ですか?と慌てた様子のサツキと一緒に、まるで老老介護のように支え合いながらベッドを下りてリビングへ向かった。まぁたいがい予想通りだったが、最後のバトルもまた三時間ほど続けていたようだ。「わたし帰る準備しますから、ラオさんはシャワーへ!」そんな指示を受けて浴室で体温を下げて出てくると、彼女は出会ったときと同じ白いコートを着た普通の美女へと戻っていた。バタバタしちゃってごめんなさい、家でシャワー浴びてすぐに仕事行かなきゃ!と玄関で靴を履くサツキに、タオルを巻いただけのオッサンが「しつこくしちゃってホント悪かったね」と言ったら、彼女は少し困ったような、照れたような、不思議な笑顔でこう言った。

「私は、とても相性がいいと、思いましたけど…。再来週ならもっとゆっくり時間作れます…から、イヤでなければ、また連絡下さい…」

 俺は遠慮する彼女にせめてとタクシー代を握らせ、気を付けて、とだけ伝えて部屋のドアを閉めた。バタンと無機質なスチールの音が響き、その後を追うようにリビングのテレビから女のいやらしい叫び声が聞こえてきた。

 八時間か、九時間か。ずっと腰を動かし続けた狂乱の一夜が今、AVの音とともにエンディングを迎えたのだった。


 さて、ひとまずサツキとの一戦目はこれで終わりだが…お前らはこんな都合のいい女神が本当にいると思うかい?キメセクマニアのためだけに作られたような、こんな素敵にイカレた美女なんて、この世に実在すると本気で信じるのかい?すべてはジャンキーの希望的妄想、またはアシッドでも食ってAV見たときの幻覚だったとか。マボロシと言うには詳細が過ぎる、でもあまりに現実離れした話…。どーよみんな、そろそろ思い出してくれよ、このサイトの名前はなんだったか。ほら、うそ、だっただろ…。