キメセクファイル/サツキ9

~ 追い打ちの果てに1 ~

 追いましょうなんて言いながら、サツキはベッドサイドへ移動するのもやっとの状態だ。そりゃそうさ、今まで三時間もマタを広げて押さえ付けられていたんだから、足なんて簡単に動くわけない。

 やっとの思いでソファまで連れて行ったら、座ると同時にサツキは独り言の世界へ旅立ってしまった。なんとも自由な女だ。ムニャムニャと楽しそうに笑っている全裸のサツキに襲い掛かりたい気持ちをなんとか抑え、さっきネタを砕いた万札からテキトーな量をポンプへ詰めて浴室へ向かった。

 シャワーの湯を少し引き、シャカシャカと振って床に投げる。水の落ちる床の振動で溶けるんじゃないかと思ったけど、ホントのところはわからない。だが覚醒している俺がそう思うんだからきっと正しかったんだろう、少しクールダウンするころには全てのシャブが溶けて透明な液体がポンプの先端で光っていた。

 手に取ったローションを伸ばしてポンプに塗り、次にケツへ遠慮なく指を突っ込む。ここで素直に追うだけで済むならいいんだけどな。すぐそこのリビングで裸の美女が待っているというのに、こんなキキメでローションを手に取ると、どうしても自分で触らずにはいられない俺だ。プチュッと追い打ちを完了させてからしばらく一人で楽しんだ。

 ヌルヌル、ヌルヌル、なんならローションを付け足して股の周辺を触って遊ぶ。寿司の前にカップ麺をすするような安っぽい充足感。ああ、この至高の贅沢よ。このあとのセックスを想像すれば興奮もひとしおってもんさ。んんっ…んあっ…大の男が情けなく声すら出しながら、シャワーの音にまぎれて秘密のイタズラにしばしふけった。

ー 刹那、自分を触る指が勢いを増した。皮一枚うすくなったように、唐突に快感が鋭くなった。

ー 肩の張りも、腕の痙攣も、手首の痛みも、苦痛という苦痛がすべてどこかへ消えていた。

ー 赤黒い情欲が入道雲のようにムラムラと猛烈な勢いで沸き上がる。体の芯が快感と熱でビリビリと痺れるように凍り付き、深呼吸するだけで無上の全能感が駆け抜ける。

 追いの加速は凄まじい。最初の一撃からたったの三時間、まだ全力のキキメに快楽魔法の重ねがけだ、気持ちよくないわけがない。キリキリと奥歯を噛みしめながら、改めてかいた汗とローションを慌てるように流した俺は、鼻息も荒くサツキの待つリビングへ戻った。

 ギリギリ残った理性のカケラで腰にタオルを巻いてはいるが、その下にはコックリングがはめられた極悪なモノが半起ちで潜んでいる。今にも叫び出しそうなほどの獣じみた強烈な性衝動を悟られまいとはするものの、ソファの上で左腕の内側を抑えながらうなだれるサツキを見て危うくその場で犯しそうになった。こいつ、俺に合わせてひとりで追ったぞ。

 今考えても、あの時はよくぞ耐えたと思う。もしそこで始めてしまえば、きっとまた数時間はセックスのとりこだ。ここでクサを吸わずにいられるか。俺はサツキの肌に触れないよう離れてソファの定位置に座り、黙ってケムリを吸った。二服、三服と重ねたあたりで彼女がムックリと顔を上げ、トロリとした調子でこう言った。

「ラオさんは紳士ですね~」

 …は?どこをどう切り取ると俺が紳士になるんだ?さっきまでお前を羽交い締めにしてナマチンポで犯しまくっていた俺が紳士?判定基準がサッパリわからんぞ。唐突なセリフに意表をつかれ、「お、おう、そりゃよかった」なんて変な声を出してしまった。しかし彼女からすればコートを掛けたりシャワーを覗きに来なかったりという細かいところがポイントになっていたようで、今までのキメセク相手とは違って紳士的だ、という結論に至ったらしい。どこかのシャブ中と比較されたと聞くと少し微妙ではあったが、彼女がそれで安心したと言うなら文句はない。俺はシャブ喰ってクサ吸ってナマチンポを出し入れできりゃそれで満足な紳士ですから。

 正直なところ、俺がシャワーを浴びている間に羽織ったらしいガウンの胸元から見えるお前のおっぱいが気になって、今は話を聴くどころか自分のモノをコスりたくて仕方ないんだよ俺は。クサも吸ったしベッド行こうよマジ。そんな俺のゲスな恋心など露知らず、追った彼女は絶好調で話しかけてくる。滅茶苦茶かわいい無邪気な笑顔もステキだけどさ、今のこの絶好調な状態で俺の絶好調をキミの絶好調に出し入れしたらもっと絶好調じゃない?

 しかしつい今しがた「紳士ですね」なんて言われてしまったもんだから、なんだか襲うに襲えない…。俺は仕方なくそのハイテンション極まりない彼女のマシンガンをしばらく浴び続けた。

 そんな中、「ラオさんは何が一番好きですか?」と訊かれたんでクサと玉とラッシュのミックスだと言ったら、私もラッシュは嫌いじゃないです、だって。

 な!なな!なんですとー!!

 当時、ラッシュのことを知ってる女なんていないと俺は勝手に思い込んでいた。なぜならアレは元々がゲイコミュニティーで広まったアナル周辺の筋弛緩と射精感の増長を目的とされたスナックドラッグだったし、その上にサツキのように王道をいく生粋の薬中は基本的に合法モノ(まぁラッシュはこのあと規制されたけどな)をバカにするきらいがあるためテッパン以外の情報にうといからだ。それなのに!こんな小娘が!しかも平気な顔して「ニトライトですよね?」なんて抜かしやがる!

 年末ジャンボがスリーセブンでジャックポットのロイヤルストレートフラッシュだコノヤロー!!

 その時の俺の感動がわかるか?キメセクのあとビジホにこもってキメオナしようと持ってきたラッシュがまさかここで火を吹くことになろうとは!

 俺はそれこそ弾けるようにソファから立ち上がると、震える手でスーツケースからラッシュを取り出しテーブルへ置いた。